はじめに
40代になると、親がだんだん年老いてきたと感じ、介護や相続について考え始める人が増えると思います。特に独身の場合、兄弟姉妹がいない、またはいても遠方に住んでいると、親の介護や相続の問題を一人で背負う可能性も高くなります。
私自身、40代独身一人っ子という三重苦で、離れて暮らす両親の介護をそのうち一人で背負うことになるのだろうなと感じています。相続に関しては兄弟姉妹がいないので揉めるということはなさそうですが、逆に相談できる相手がいないのが心配なところです。
同じように「親の介護はどうすればいいの?」「相続で困らないために何を準備すればいいの?」という不安を感じる人も多いでしょう。本記事では、親の介護と相続について、40代独身女性の私が今からできる準備を実践してきたことを具体的に解説します。
介護の準備
① 親の健康状態を把握する
介護はある日突然始まることが多いと思いますが、親の健康状態を把握しておくことで、事前にできる準備が増えます。以下のポイントを確認しておきたいですね。
- 現在の健康状態(持病や服薬の有無)
- 病歴(過去に大きな病気をしたか)
- かかりつけ医と診察記録
- 健康診断の結果
親が「まだ元気だから大丈夫」と言っていても、定期的な健康診断を受けてもらうことは大切です!また、フレイル(健康な状態と要介護状態の中間の段階)予防のための栄養、運動、社会参加の3つの柱について、どれぐらい取り組んでいるかもヒアリングしておきたいところです。ちなみに私の両親は今のところ健康状態は良好、フレイル予防にも積極的に取り組んでいるようで有難い限りです。
② 介護サービスについて知る
日本には公的な介護サービスが充実しています。親が要介護状態になったとき、すぐに動けるように以下を確認しておきたいですね。
- 介護保険の仕組み(要介護認定の申請方法)
- 利用できるサービス(訪問介護、デイサービス、施設入所など)
- 介護施設の種類と費用(特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど)
- 自治体の支援制度(地域包括支援センターの利用)※
特にまず最初に地域包括支援センターに相談するのがオススメとのことです。親と離れて住んでいる場合は、親の居住区のセンターが相談窓口になるそうです。私も対象地域にあるセンターの場所と連絡先は調べてメモしました。
地域包括支援センターとは
地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるように支援する公的な拠点です。全国の市町村に設置されており、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置しています。本人や家族に限らず友人や近所の方からも無料で介護などに関する相談ができるのが特徴です。
<主な役割>
- 介護予防ケアマネジメント:健康相談や介護予防ケアプラン作成等
- 総合相談支援:各種相談を幅広く受け付けて、制度横断的な支援を実施
- 権利擁護:高齢者虐待の防止、成年後見制度の活用促進など
- 包括的・継続的ケアマネジメント支援:ケアマネージャーへの支援など
<利用方法>
無料で相談可能!
- まずは「〇〇市(区) 地域包括支援センター」で検索
- 対象地域のセンター窓口で相談
地域包括支援センターを活用することで、介護の不安を減らし、必要なサポートを受けることができます。ただでさえ独身の子どもは親の介護を一人で抱え込みがちなので、早いうちに公的サービスについての情報を集め、いざというときに備えましょう!
③ 介護費用の準備
介護は長丁場で想像以上にお金がかかりますね。自宅で介護する場合はリフォーム費用や介護用品の購入費、ヘルパーの利用料などが必要になります。介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)のうち、一時費用の合計額は平均74万円、月々の費用は平均8.3万円かかり、介護を行った期間は平均61.1か月(約5年1か月)という調査データもあります(2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(速報版)より)。つまり、74万+8.3万×61.1=581万1,300円かかっているということですね…しかも両親2人ともになったらこの2倍ですね。平均なので、すべてのケースがこの通りに当てはまらないとは思いますが、私の両親に対しては少なくとも1千万円はかかるかもしれないと考えておいたほうが良さそうです。
また、介護施設への入所を考える場合は、民間施設で種類によって幅広いですが入居一時金のほか月額10万~30万円程度の費用がかかるようです。公的施設は民間施設より格安ですが、条件が厳しく待機期間が長いんですよね。何がいつ必要になるかはわかりませんが、親だけでなく自分自身の老後シミュレーションとしても、情報収集と資金準備はしておきたいところです。
参考:みんなの介護【一覧表でわかる】老人ホームの費用相場(種類別・都道府県別)
【今からできること】
- 親の預貯金や年金額を把握する
- 介護費用の試算をしてみる
親が元気なうちに「将来の介護費用について話しておく」ことが重要ですが、親が要介護状態になったとき、どこで介護をするのか(自宅 or 施設)も早めに考えておくとスムーズだと思います。
また、介護費用は親自身のお金で出すことを基本にしたいですね。独身で自由になるお金が多いからと立て替えていると、自分自身の老後資金の備えが不十分になるというリスクが考えられます。
親といっしょに暮らしている独身の方は「世帯分離」をして親の医療費や介護費用の自己負担額を引き下げられる可能性もあるそうです。ただ扶養控除が受けられなくなるなど、他の制度にも影響が出るので、総合的に判断することが必要ですね。
④ 仕事との両立を考える
介護が始まると、仕事との両立が難しくなることがあります。介護離職を防ぐために、今の職場の介護制度を確認しておきたいですね。
【確認すべきこと】
- 介護休業制度の有無(通算93日取得可能)
- 介護休暇の有無
- 時短勤務や在宅勤務ができるか
- 職場の理解が得られるか
私はフリーランスなので、残念ながら介護制度の利用はできませんが、仕事との両立はできる状態だと思います。PCとインターネット環境さえあれば、どこでも出来る仕事なので、実家に戻って介護をしながら仕事も可能です。その点だけはフリーランスのメリットかもしれません。
相続の準備
① 親の資産状況を把握する
介護費用でも大切なポイントですが、相続でのトラブルを避けるためにも親の財産を把握することは重要だと思います。
【確認すべき資産】
- 預貯金(どこの銀行にいくらあるか)
- 不動産(持ち家や土地があるか)
- 株や投資信託(金融資産があるか)
- 借金の有無(ローンや負債がないか)
親の資産が不明だと、相続の手続きがスムーズに進みません。元気なうちに「どこに何があるか」を確認し、リストを作っておいてもらったほうがよいと思います。私も実家に帰る度にお願いしているのですが、まったくリスト化している気配がありません(笑)。雑談の中で大雑把には把握していますが、そろそろエンディングノートをプレゼントしないといけないかもしれません。
② 遺産相続トラブル対策
親が亡くなった後、遺産分けの際に、家族持ちの兄弟姉妹がいる独身者は「自由になるお金がある人」と譲らされそうになったり、介護が絡んでいれば「介護した自分は多めに相続できるはず」という想いもあったり、相続人同士で揉める可能性もあると思います。いちばん良いのは、親が元気なうちにみんなで「介護・相続」をセットで話し合うこと。さらに遺言書を書いてもらえれば、親の意思が明確になり、トラブルを防ぐことができます。
私自身は兄弟姉妹はおらず一人っ子なので相続で揉める心配はないのですが、早めに「介護・相続」をセットで話し合うべきだと思っています。両親も腰が重く「まだ早い」と思っている節があり、まだ実行できていませんが、次こそは「将来のために一緒に考えよう」と相談したいと思っています。
③ 相続税の対策をする
遺産が一定額を超えると、相続税がかかることがあります。
【基礎控除額】
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
たとえば法定相続人が一人なら、3,600万円までは非課税になります。これを超える場合は、相続税対策を考えたいところです。
【相続税対策の例】
- 生前贈与(年間110万円まで非課税)
- 生命保険の活用(非課税枠 500万円×相続人の数)
- 不動産の活用(小規模宅地等の特例※)
※小規模宅地等の特例とは、亡くなった人の自宅や事業用の土地を相続する際、一定の条件を満たせば相続税評価額が最大80%減額される制度。なお土地とあったのでマンションはNGなのかと思っていましたが、マンションにも適用できるようです。私の実家はマンションなので良かったです。ただ計算方法などが複雑だったので、実際に相続対策をするなら税理士さんに相談したいところです。
親が認知症になったら
2030年には高齢者の7人に1人が認知症患者になるという推計が発表されました(厚生労働省研究班2024/5/8発表)。自分の親もその中に入る可能性はあります。
介護費用は親のお金から出すのが基本と書きましたが、親が認知症になると財産は凍結され、本人の介護費用のためであっても動かせなくなることはご存じでしょうか。私はまったく知りませんでした。
その対策として以下のような制度があるそうです。
【任意後見制度】
ひとりで決められるうちに、認知症や障害の場合に備えて、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいこと(財産管理や介護サービスの締結など)を契約(任意後見契約)で決めておく制度です。
【家族信託】
本人が認知症になり自身の財産管理が困難になるリスクに備え、不動産や預貯金などを家族や信頼できる第三者に託し管理・処分を任せる制度です。
どちらもメリット・デメリットがあるようで、親の判断能力が十分にあるうちに、よく調べて目的に応じて使い分けたり併用をしたり検討したいと思っています。
また、親が認知症になってしまった後は「法定後見制度」が利用できるそうですが、後見人には家族ではなく専門家が選任されることもあるそうです。何はともあれ、早いうちに準備しておくことに越したことはないですね。
参考:成年後見はやわかり
まとめ:今からできること
- 親と将来のことを話す(介護・相続の希望を確認)
- 親の健康状態を把握する(定期的な健康診断を促す)
- 介護費用を試算し、貯蓄を始める
- 利用できる介護サービスを調べる
- 親の財産をリスト化する
- 認知症対策も考える
- 職場の介護制度を確認する
考えれば考えること不安なことだらけですが、一人で抱え込まず、親や専門家と相談しながら準備を進めたいですね。
おわりに
「まだ大丈夫」と思っていても、介護や相続の問題はきっと突然やってきます。40代の今だからこそ、親が元気なうちに準備を始めることができます。
一歩ずつ進めていけば、いざというときも慌てずに対応できるので、自分自身の生活も大切にしながら、無理のない範囲で準備を進めていきたいと思います。